高血圧は、現在日本では3人に1人が患っているとされる、身近な病気です。
ただし、いくらありふれた病気とはいえ、放置すれば脳梗塞・脳出血や脳卒中、動脈硬化や心筋梗塞、心不全・不整脈など大病に繋がる危険因子であることもまた事実です。
ここでは、高血圧の特徴や具体的な症状、初期段階において見られる現象について学んでいきましょう。
また、高血圧になりやすい条件や習慣なども併せて把握し、罹患を未然に防ぐための対策も講じていきます。

日本高血圧学会が定める「高血圧の定義」

高血圧測定器人間を含む多くの脊椎動物は、心臓が全身に血液を送り出すことによって、身体の各部に栄養分や酸素を送り届けて生命維持を図っています。
血液を運ぶ際に、血管に加わる圧力のことを「血圧」と呼びます。
そして問題となっている、「高血圧」と呼ばれる状態は血管に過度の圧力がかかっている状態を指しています。

高血圧の状態そのものに関しては自覚症状がほとんどないため重要視されにくいですが、冒頭で述べた通り脳卒中や虚血性心疾患、心筋梗塞や動脈硬化・腎不全といった命に関わる重大な病気の発症原因となり、非常に危険な状態であることは確実です。
数ある生活習慣病のひとつであり、中でも男女共に通院者の確率が最も高い疾患として厚生労働省より報告されています。

日本高血圧学会の定義によれば、収縮期血圧(最高血圧)が140mmHg以上、拡張期血圧(最低血圧)が90mmHg以上に保たれた状態を高血圧としています。
覚えておきたい点としては、最大血圧と言えど運動時における血圧上昇など「一過性の高血圧」は除外されるという点です。
あくまで、数回の測定の平均値をとる形であるため、平常時計測した状態を念頭に置いた数値を参考とします。

ただし、近年の研究によって血圧の数値が高いほど重大な疾患へのリスクが高まるという事実を踏まえて、収縮期血圧(最高血圧)は120mmHg未満であることが、生命体の血管にとって負担が少ない血圧レベルと見られる動きが強いです。
なお、家庭内で計測する際においては朝・夜の任意の期間に計測し、偏りが生じないようそれらの平均値を測定値とすることも、日本高血圧学会によって定義づけられています。
135/85mmHg以上は治療対象となる場合があり、125/75mmHg未満であれば正常値として診断されます。

どんな人が高血圧になりやすい?

血圧の変動は、心臓から送り出す血液量や全身の血液量、末梢動脈に流れる血液の抵抗量、血液の粘り気といった4つの要素のいずれか、もしくは全てが変化した際に起こります。
中でも、心臓から送り出す血液量(心拍出量)と抹消動脈へ流れる抵抗量(末梢血管抵抗)が異常な数値へと変わると、血圧が高くなりやすいです。

高血圧の男性次に、これら4つの条件が揃いやすい人・生活習慣について見ていきます。
食生活においては、あらゆる生活習慣病の原因となる要素を秘めています。
動物性脂質(肉類や油もの)を摂取しすぎて血液中の悪玉コレステロールを増加させ、血管狭窄および動脈硬化のリスクを高める行為は非常に危険です。
塩分の摂り過ぎも、浸透圧による作用で血液量を増やしてしまいます。

また、こういった食生活を送っている人はアルコールも大量に摂取している可能性が高いです。
少量であれば血圧を下げる効果がありますが、多量に摂取すると逆に血管を収縮させ血圧を上昇させてしまいます。
付随して、肥満傾向にある方も危険です。
特に内臓脂肪型肥満が危険と言われているのは、このタイプの人の血液の粘度が高くなるためです。

嗜好品であるタバコにも危険がつきまといます。タバコに含まれるニコチンは、交感神経を刺激して血管を収縮させ、血圧を高めてしまう働きがあります。
一酸化炭素による脳や心臓への負担も懸念されます。

運動不足気味の人も問題です。筋力が低下した結果、血管も硬化してしまい血行不良に繋がります。
血行不良になれば、身体のすみずみまで酸素や栄養を行き渡らせようと心臓が必死になり、ポンプの力を強めようとしてさらに血流の勢いが増し、その結果血圧がどんどん上昇してしまいます。

精神的なストレスや肉体的な疲労が溜まりがちな人も、高血圧のリスクが高まります。
血圧は自律神経によってコントロールされていますが、ストレスが高まるにつれ自律神経の一つである交感神経が活発化してしまい、興奮作用のあるアドレナリンが多量に分泌されて血液量が増加します。
その結果、血圧が上昇してしまいます。同様に、肉体的疲労も血管の加圧へと繋がります。

高血圧の初期は症状が現れにくい

高血圧の厄介な点は、自覚しづらい点にあります。
特に初期の段階では症状はほとんど現れず、気付く確率が非常に低いです。
そのため、定期検診を受けた際に数値が上昇していることを告げられて驚いた、というケースが多い傾向にあります。

高血圧の初期には、一応症状のようなものが見られます。
ただしそれは、心臓が痛んだり血管がドクドクと脈打つといった分かりやすいものではなく、頭痛や目眩、吐き気や動悸といったように、体調を崩したり風邪のような一般的な疾患の症状と何ら変わりはないため、気付きにくくなっています。
この他に、眠気が酷い・目が見えにくいなどといった症状もありますが、こちらも疲労時や体調不良のタイミングとほとんど変わらないため、高血圧と自覚するのは困難です。

高血圧の疑いがある女性このように、初期の段階では頭痛や目眩、吐き気や動悸、イライラなどごく一般的な体調不良として片付けられるものがほとんどであるため、初期症状はほぼないと言っても過言ではありません。
日頃から数値を気にして測定したり、医師の診断を定期的に受けて警戒している方しか早期発見は困難であると言えるでしょう。

心筋梗塞や脳卒中、動脈硬化など大病の名前を聞けば大いに警戒して生活習慣の改善にも取り組むでしょうが、高血圧の場合はそれ自体に辛い症状(身体が痛む、腫れるなど)がないため軽視されがちです。
しかし、あらゆる病気で言われる通り、早期発見をしてできるだけ早く治療に取り組むことが有効であるのは高血圧に関しても同じです。
高血圧になりやすい人・習慣の項で述べた条件に心当たりのある方は、特に注意しておく必要があります。
もし、頭痛や目眩などが気になる方は念のため医療機関に訪れて診断を受けるようにしましょう。

頭痛など高血圧の主な症状

高血圧によって引き起こされる諸症状として、まず頭痛が挙げられます。
脳の血管は、本来は血圧の変化が起きると血管を収縮・拡大して血流を一定に保っていますが、血流量が多くなり血圧が激しく上昇すると、血液の液体部分が漏れ出てしまいます。
これにより脳がむくんだ状態となりますが、頭蓋骨によって飛び出すこともできずに脳が圧迫されます。
その結果、頭痛に結びつきます。

頭痛と同じく、吐き気も血圧の上昇によって引き起こされる症状です。
脳には嘔吐中枢神経と呼ばれる、嘔吐の信号を出す神経が備わっており高血圧脳症などによって脳に強い圧力がかけられると、この中枢神経が刺激され、吐き気を催すという仕組みです。

他の症状に比べ、血圧上昇に伴って「動悸」が見られるのは比較的分かりやすいかもしれません。
高血圧状態の際、心臓は全身へ血液を送るために、本来は必要でない余分な力を使って血液を押し出します。
血圧が高い状態が持続すればするほど、心臓に強い負担がかかり心臓の筋肉が大きくなる肥大型心筋症や、心臓の疲労によって全身への血液搬出が不十分になる心不全を発症する可能性が高くなります。
これらの病気と平行して、不整脈もでやすくなります。この不整脈の症状の1つこそが動悸です。

目眩の症状は、本来耳の病気と捉えられやすいですが血圧も関係します。
脳梗塞・脳出血などにより、脳への血流が低下した結果、脳の中の平衡感覚に関連する神経もダメージを受けてしまいます。
身体の平衡感覚のバランスが崩れると、目眩が起こりやすくなります

血圧が上昇することでイライラも起きるとされています。
人間は、興奮することで交感神経が活発化して、神経の働きが活性化されて血管が収縮し、脈拍も上昇します。
そのため、血圧が上がって高血圧の状態になりやすくなります。
また、興奮状態により不眠状態が続き、「日中の眠気の症状」が恒常化してしまいます。
その他、目の症状も脳卒中により目の神経近くの脳の一部がダメージを受けて発現することがあります。